aikoさんの最新曲「skirt/スカート」を聴いて、予想できない独特の音程や、サウンドの不協和音さに耳を奪われた方も多いと思います。
「aikoのskirt、音程外れてる?」
「aikoの新曲は音程これで合ってるの?ヤバすぎん?」
「aikoの新曲、不協和音がすごい…」
「aikoのskirt、めちゃくちゃ不穏」
と、初めて聴いた人の中には、違和感や不穏さ、気持ち悪さ、不快さを感じる方もいるかもしれません。
しかし、この曲の魅力はまさにその「不安定さ」「不協和音」にあるのです。
それは「音程の揺れ」「コード進行」などで「不協和音的」な楽曲を作り出しがちな、aikoさんの魅力である特徴がこれでもかと詰まった一曲だからです。
「aikoピッチ」「aiko節」などと言われる魅力が炸裂しています。
この記事では、aikoさんの最新曲「skirt」を始めとして、aikoさんの独特の揺れる音程や不協和音、コード進行から、意図的に作り出される世界観に迫ってみたいと思います。
aiko新曲「skirt」音程と不協和音からみる中毒性の秘密
まずは、aikoさんの新曲「skirt」について、みていきましょう。
aiko新曲「skirt」のAメロとサビの難解音程
何と言っても、aikoさんの新曲「skirt」で一番印象的なのはAメロですよね。
ボーカルのメロディーライン(とベース)と、ギターのサウンドが不協和音を起こして調和していないんです。
“いつも苦しかった”“愛しい人”ではなくなった「あなた」と「あたし」の関係性を、調和しないサウンドで表現していると思われます。
しかし、2番のサビ後には不協和音のないポップな主旋律が現れて、不協和音的なサウンドは姿を消していきます。
揺れる「あたし」の心が吹っ切れていく様子を歌詞だけでなく音楽でも表しているのでしょうね。
この音楽的表現こそが、「aiko節」と呼ばれているaikoさんの唯一無二の魅力なんです。
aiko新曲「skirt」はaiko節の大盤振る舞い
aikoさんの新曲「skirt」の特徴的な音程は以下のような要素を持っています。
- より強調されたコードとメロディーの不協和音
- 不安定な雰囲気から爽快感への変化
- 初期のaikoを彷彿とさせる懐かしさと新鮮さの融合
- 何度も聴くうちに感じる中毒性
これはもう、aikoさんの魅力を最大に煮詰めた一曲と言っていいと思います。
多くのファンが指摘するように、この曲は、
「初めて聴いたときはなんだこのメロディ?って違和感があるのに、繰り返し聞いてるうちにしっくりくるようになって、気づいたら何度も何度もリピートしちゃう魔法」を持っているのです。
それは、aikoさんがしっかりと音楽理論を学んでいるからということも大きいと思います。
一般的な「きれいな歌」「聴き心地の良い曲」の基準からは外れているかもしれません。
しかし、その独特の音程や不協和音こそが、aikoさんならではの音楽性を表現しているのです。
aikoの歌唱力や楽曲の特徴
散々「aikoピッチ」「aiko節」などとaikoさんの魅力を表現してきましたが、aikoさんの音楽的特徴について、少し掘り下げて解説していきたいと思います。
aikoは歌が下手、音程が外れているという誤解
aikoさんの楽曲の最大の特徴の一つは、その独特な音程とメロディラインです。
aikoさんの歌い方に、「音程が外れているんじゃないの?」と違和感を感じる人も少なからずいます。
前提として、aikoさんの歌唱力は高く、幅広い音域をカバーし、地声とファルセット(裏声)を巧みに使い分けながら、低い音から高い音まで複雑に変化するメロディを自在に歌い上げています。
「aikoは歌が上手い」「aikoは歌が下手」と意見の分かれる原因は、aikoさんの独特な歌唱スタイルにあるかもしれません。
aikoさんは意図的に音程をずらしたり、独自のビブラート(音を揺らす技法)を使ったりすることがあります。
これは単なる音程の外れではなく、aikoさんならではの表現方法なのです。
aikoの歌唱はブルース、サックスに近い
aikoさんの曲をボーカロイドに歌わせてみると非常に良く分かりますが、譜面通り正確な音程でボーカルを入れると、曲の魅力が失われる印象があります。
それだけ、aikoさんのボーカルには、譜面には表せない繊細なピッチの上下や、譜面の音程に辿り着くまでの経過音が多く含まれているということですね。
aikoさんの楽曲には、「ブルースケール」というジャズやブルースでよく使われる音階を使用しており、ボーカルも、譜面通りに一音一音正確に音程を当てるというよりも、ブルース的な節回し。
楽器で例えるならばサックスが一番近いんじゃないかという声もあります。
「カブトムシ」「ボーイフレンド」のaikoピッチ
代表曲「カブトムシ」では、aiko節は比較的控えめなものの、メロディの動きが極めて大きく、1オクターブの中で自在に音を組み合わせています。
また、半音(♭や♯)を効果的に挿入することで、音符が派手に動き回っているような印象を与えています。
2番の歌詞の“琥珀の弓張り月”の“張り月”の部分も、あえて音を上下させて揺らしていて、真っ直ぐ音を当てて歌っている1番よりも、ドラマティックで情感的な印象を与えています。
また、「ボーイフレンド」の“Ah テトラポット登って”の“Ah”の音程の揺らぎは、まさにaikoさんのメロディーの特徴と言うことができそうです。
この独特な音程の取り方は、「aikoピッチ」と呼ばれています。
最初は違和感を覚える人もいますが、何度も聴くうちに中毒性のある魅力に気づくリスナーが多いのです。
感情を巧みに表現する歌詞
aikoさんの歌詞は、リスナーの心に深く響く力を持っています。
aikoさんが自らを「恋愛ジャンキー」と呼ぶほど、恋愛をテーマにした曲を多く手がけていますが、その表現方法は非常に繊細で巧みです。
例えば、「青空」では”知ってはいけない”恋を”知ってしまった”心情を見事なワード使いで表現しています。
また、「えりあし」のように、過去の愛しさを綴った歌詞は、聴き手の経験を呼び起こし、強い共感を生み出します。
aikoの歌詞は、単なる言葉の羅列ではなく、情景や感情をリアルに描き出す力を持っているのです。
これにより、リスナーは曲の世界観に深く入り込むことができ、「aikoでしか得られない栄養がある」状態になるのですね。
高度な音楽理論に裏打ちされた楽曲構成
aikoさんの楽曲は、単にキャッチーなだけでなく、高度な音楽理論に裏打ちされた構成を持っています。
大阪音楽大学短期大学部を卒業しているaikoさんは、その知識を巧みに楽曲に活かしています。
例えば、ブルーノート(注:ジャズやブルースで特徴的に使われる、独特の響きを持つ音)やジャズのコード進行を効果的に取り入れることで、J-POPでありながら独特の雰囲気を醸し出しています。
ファンや同業者からは「変態的コード進行」などと言われて、称賛を受けていたりもします。
「カブトムシ」では、
- マイナードミナント(※主調(曲の基本となる調)から見て短調の属和音)
- ツーファイブ(※ジャズでよく使われる和音進行のパターン)
といったジャズ的なコード進行が使われており、曲に深みを与えています。
このような高度な音楽理論の応用が、aikoさんの楽曲を単なるポップミュージックの枠を超えた、奥深い音楽作品に仕上げているのです。
aiko新曲「skirt」音程外れてる?不協和音を意図的に作り不穏を表現する aikoの世界観 まとめ
aikoさんの新曲に見られる独特な音程について、詳しく見てきました。
最初は違和感を覚えるかもしれませんが、それこそがaikoさんの魅力なのです。
aikoさんの音楽の特徴は以下の点にあると言えるでしょう。
- 意図的な「不協和音」の使用
- 感情表現を重視した歌唱スタイル
- リスナーの感性に訴えかける音楽性
これらの要素が、多くのファンを魅了し続けているのです。
一般的な「上手い歌」の基準では測れない、aikoさんならではの音楽表現。
それこそが、aikoさんの音楽が多くの人々の心を掴む理由なのかもしれません。