NewJeansが2024年6月21日に発売した日本デビューとなる新曲「Supernatural」が、日本の90年代後半の「SMAP」「DA PUMP」などの楽曲と似ているという声が多く挙がっています。
NewJeansの新曲「Supernatural」がなぜこんなにも90年代後半に流行っていた日本の音楽を彷彿とさせるのか、その共通点は「ニュージャックスイング」にあります。
NewJeans新曲「Supernatural」と似ている日本の曲
NewJeans新曲「Supernatural」を聴いた日本リスナーが、90年代後半に流行っていた日本の音楽を思い浮かべるのは、当時のヒットチャートを賑わせていた楽曲たちとテイストが似ているからです。
NewJeans新曲「Supernatural」と似ている「SMAP」「DA PUMP」「ZOO」などの曲
NewJeans新曲「Supernatural」と多くの人達が呟いている曲として代表的なものは以下の楽曲たち。
- SMAP:「Hey Hey おおきに毎度あり」「たぶんオーライ」
- ZOO:「Choo Choo TRAIN」「Gorgeous」「Native」他
- 久保田利伸:80年代後半~90年代前半の曲全般
- DA PUMP:「ごきげんだぜっ!~Nothing But Something~」 など
NewJeans新曲「Supernatural」が、90年代後半に流行っていた日本の音楽を彷彿とさせるのは、同じ「ニュージャックスイング」スタイルで作られた曲だからです。
ZOOやDA PUMPをプロデュースしていた中西圭三やm.c.A・Tが、元々ニュージャックスイングを取り入れた楽曲をリリースしていたんよね。
SMAPは音源をサブスク解禁していないので、カラオケビデオのYoutube動画があったので貼っておきます。
▼イントロ後の間奏は、ニュージャックスイングテイスト全開のDA PUMP「Feelin’ Good -It’s PARADAISE」
▼1994年に放送された戦隊モノ「忍者戦隊カクレンジャー」のオープニング曲でさえも、当時流行していたニュージャックスイングテイスト
1990年代中盤から後半、最先端を行くクリエイターたちは、日本の有名歌手やグループの楽曲にニュージャックスイングスタイルを取り入れていったため、日本の音楽市場にもニュージャックスイングテイストの楽曲が沢山誕生することとなりました。
ちなみに日本の曲ではないですが、NewJeansの新曲「Supernatural」のイントロには、EARTH, WIND & FIREの「BRAZILIAN RHYME」にも似ていると言われています。
「パダダッダダ パダダ~♪」のところ、「Supernatural」のイントロに似たような音使っているね。
NewJeansとSMAPと似ているのは「脱力感」「親しみやすさ」もあり
また、NewJeansとSMAPと似ているのは「脱力感」「親しみやすさ」という点もありますよね。
ニュージャックスウィングというギラギラゴリゴリ夜の匂いがするスタイルの楽曲なのに、NewJeansやSMAPの歌声や存在が乗っかると、その脱力感で打ち消されて爽やかな印象になる気がします。
これまでのK-POPアイドルとは違い、NewJeansは全員がしっかりした歌唱力は持っているものの、歌の上手さをアピールするような、声量で勝負するような声張り上げ系の歌唱パートは作らず、イージーリスニングな楽曲に徹しています。
手の届かない憧れの存在として示すのではなく「等身大」の10代女子を表現することにより、同じく10代~20代からの共感を集めています。
SMAPも、当時の流行りの曲調を取り入れつつも、シンプルなメロディーラインで親しみやすい楽曲が多いです。
また、SMAPは正直な話、歌唱力が高いとは言えないグループ。その点も圧倒的な親しみやすさと、カラオケなどで歌いやすい「身近な存在感」を生んでいると感じます。
90年代中頃から日本にもニュージャックスウィングが浸透する
ニュージャックスウィングは、1980年代中盤にアメリカで生まれ、1980年代後半から1990年代前半にかけて人気を博した音楽ジャンルです。
世界の音楽市場は、アメリカで流行ったものを取り入れる傾向にあり、日本も例外ではありません。
アメリカで流行ったニュージャックスイングスタイルが、1990年代中頃から日本の音楽市場でも流行り始めます。
NewJeans新曲「Supernatural」はニュージャックスイングテイスト
ニュージャックスウィングとは
ニュージャックスウィングとは、テディー・ライリーが考案したと言われている、1980年代中盤にアメリカで生まれ、1980年代後半から1990年代前半にかけて人気を博した音楽ジャンルです。
ニュージャックスウィングの特徴を3点挙げると、まず電子ドラムやリズムマシンを使ったスイング感のあるパワフルなビート、R&Bのメロディとヒップホップのラップを融合させたボーカル、最後にシンセサイザーやデジタルエフェクトを多用したクリアで力強いサウンド、などが挙げられます。
- 電子ドラムやリズムマシンを使ったスイング感のあるパワフルなビート
- R&Bのメロディとヒップホップのラップを融合させたボーカル
- シンセサイザーやデジタルエフェクトを多用したクリアで力強いサウンド
ニュージャックスウィングテイストの曲
聴いてみた方が早いですよね。
今回のNewJeans新曲「Supernatural」と似ている、親和性の高いニュージャックスイングスタイルの楽曲。
ニュージャックスウィングを流行らせた男、Bobby Brownが1988年にリリースした「Every Little step」を聴いてみましょう。
このイントロの電子ドラムやハイハットなどのスイング感のあるビートや、「ジャジャン!!」という「オーケストラヒット」と呼ばれるあの電子効果音などがニュージャックスイングの特徴です。
▼NewJeans新曲「Supernatural」にもこういう「オーケストラヒット」が使用されていましたよね。
私がブラックミュージックにハマったのはこの次に流行するヒップホップソウルあたりだから、当時はこのビート感とか「ジャジャン!」とかは一昔前でダセェって思ってた(笑)
70年代のソウル・ファンクはカッコ良く感じてたんだけど。不思議。
ニュージャックスウィングは、その人気上昇があまりにも急速だったために飽きられるのも早く、1990年代前半以降は一気に影を潜めていきます。
NewJeansプロデューサー:ミンヒジンと日本文化
K-POPは、アメリカの音楽市場を狙って戦略を立てているので、アメリカで流行ったものを参考に、そこをなぞりながらも新しいテイストを加えた楽曲をリリースしています。
韓国のアーティストとして初めて全米チャート1位を獲得したBTSの「Dynamite」もアメリカのダンスミュージックをベースに作られていますし、今回のNewJeans新曲「Supernatural」も、その流れを汲んでいると思われます。
しかしどうしても、NewJeansのプロデューサーを務めるミンヒジンさんは、日本の90年代~2000年代の日本の文化を意識していると考えてしまいます。
ミンヒジンは日本のカルチャーもオマージュしている
NewJeansデビュー時にも散々話題になりましたが、ミンヒジン氏は、90年代~2000年代の欧米や日本のカルチャー、日本のグループ「SPEED」や「宇多田ヒカル」さん、雑誌「オリーブ」や岩井俊二の映像作品などから影響を受けていると思われるものが多いです。
ミンヒジン氏本人は「90年代の日本文化に影響受けてない」と雑誌のインタビューで明言していましたが、今回のNewJeans新曲「Supernatural」も、受け取る側からは類似性を感じられますよね。
ただ、韓国で親日の姿勢を大々的に見せられないという背景はあるのかなとも推察します。
私もミンヒジン氏と同じ40代でSPEED、宇多田ヒカル、岩井俊二はど真ん中で通ってきたから、無自覚でも感性に染み付いているのは分かる。
特に今回は日本デビュー曲ということで、日本の国民的アイドルであったSMAPが一番活躍して輝いていた時代の曲調を、あえて狙って入れ込んだ可能性は大いにありますよね。
ただ流行りが繰り返されているだけ
一方で「20~30年周期で流行りは繰り返されているから、NewJeansもその流れに乗っているだけ」という見方も。
SPEEDも、当時アメリカで大人気だった「TLCみたいなガールズグループになりたい」と希望して今のスタイルになったという話は有名です。
▼当時アメリカで大人気だった「TLC」
レフトアイー!!(泣)
本当にTLCは大人気だった!
日本で80年代後半~90年代に流行ったニュージャックスイングも、元をたどればアメリカで流行ったスタイルを取り入れたもの。
80年代以降に生み出された創作物のほとんどが、厳密に調べていくと元々ある何かをアレンジしたり、何かと何かを融合させて新しいものにしたりと、完全にオリジナルとは言えませんよね。
オマージュやリスペクト、サンプリングとして敬意を込めて行われることは、何ら問題ないと思いますし、そうやって時代が流れていく中で、生まれては消えていくものが流行です。
なのに今回のミンヒジンの盗作騒動は、特大ブーメランになってしまっている…。
NewJeans新曲Supernaturalと似てるSMAP、DA PUMPなどの共通点はニュージャックスイング まとめ
NewJeans新曲の「Supernatural」と似てるSMAP、DA PUMPなどの共通点には、「ニュージャックスイング」スタイルがありました。
ミンヒジンさんの戦略にはいつも驚かされますが、今回は恐らく「エモいけど新しい」革新的なNewJeansの楽曲になっていたことは間違いないですね。